川井徳寛

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ARTIST  Statement

Tokuhiro Kawai

 『深夜放送』は、夜空に超音波を捉えて飛ぶコウモリのイメージから、ラジオの電波塔から発信される深夜放送の電波を捉えて聴く者に届ける精(コウモリの羽とラッパを持った天使)という架空の存在が描かれています。放送という目に見えない現象が、擬人化され、受信機(ラジオ)を持った少年の頭上に舞い降りステレオ放送を聴かせている、という図です。

 どこか孤独な深夜という時間帯に、人の温もりを求めて聴くラジオから聞こえる声、その仲介役にこんな使いが存在したら、という作者自身の空想を、画中の人物に託しています。


 『スリープコレクター』はその名の通り、眠るという行為に異常な執着を示し、眠っている生き物ばかりを収集する人、です。 これは私が子供の頃好きだった図鑑の『地面の断面図』に昆虫や動物

が巣穴に眠っている様子があり、いつかこれを描いてみたい、と思ったところからスタートしました。

画中に登場する生き物は全て眠っており、もしその様な図鑑があるとすればこの絵は「睡眠動物図鑑」といった趣きになります。人間の収集癖というものに興味があり、これからもコレクターシリー

ズとして追及していきたいテーマです。

 この作品に登場する人物も上記のような作者の考えを託されて画中で演じている、いわば作者の分身のような存在です。


これらの人物が美化されて描かれているのは、作者のナルシズムから来るというのとは少し違います。これは、女の子が幼少時にお姫様を描く姿を想像してもらうと、分かり易いかも知れません。その時の女の子は、描かれているお姫様に自己投影しているとは思いますが、純粋に美しいものを描きたいだけであって、美しい自分を描いているのでは無い、というのと同じ事です。

 「男の子が幼少時に王子様を描く」という話はあまり聞きませんが、私が人物を描く時の気持ちを説明しようとすると、これが一番近いかもしれません。


 私自身の幼い頃に得た記憶や体験が絵作りのきっかけになり、『王子様を描くような気持で描いた絵の主人公』に自分を投影し『なりきる』ことで絵作り(ストーリー)がはじまります。

つまり作品を作る時は、子供の頃の気持ちに帰って描いていると言えます。

そういう自分の中の『男の子』を大切にしたいという意味で、私は永遠に『王子様を描く男の子』でありたいと思うのです。


アートフェア東京2010出展によせて

川井 徳寛

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